シスプラチン誘発腎毒性(CIN)の機序については、これまで多くの研究がされてきた。フェロトーシスは、鉄を介して誘導される非アポトーシス性の細胞死である。本研究では、CIN におけるフェロトーシスの役割について検討した。シスプラチンは、マウスの腎臓における鉄とヒドロキシラジカルが共局在化した。また、シスプラチンによって生じる腎機能障害、フェロトーシスマーカーの増加はフェロトーシス阻害剤であるFer-1によって改善した。さらに、鉄キレート剤であるデフェロキサミンもCOX-2と4-HNEの発現を低下させ、CINを抑制した。フェロトーシスはCINの病態に関与することが明らかとなった。
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