ヒト赤芽球の成熟に伴い、細胞内ホスファチジルイノシトール3リン酸(以下、PI(3)P)量がその前駆体であるホスファチジルイノシトール(以下、PI)に対し相対的に増加する事を見出した。また種々のホスファチジルイノシトール3キナーゼ(以下、PI3K)たんぱく質の発現を解析し、赤芽球の成熟に伴い多くのPI3Kの発現が減弱し最終的に消失する一方で、PIからPI(3)Pを特異的に産生するとされるクラスⅢのPI3KであるPIK3C3は脱核に至るまでその発現が高いレベルで維持されている事を明らかとした。PIK3C3並びにその産生産物であるPI(3)Pがヒト赤芽球の成熟を正に制御している可能性が示唆された。
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