抗CD38抗体は多発性骨髄腫治療の中心的な薬剤と位置付けられている。しかしながら、CD38抗体併用の化学療法をもってしても多発性骨髄腫は治癒困難であるといった問題点も依然として存在する。我々は、CD38酵素活性を阻害し、骨髄腫細胞の増殖・生存への影響とその機序を解析することにより、CD38が抗体療法の標的表面抗原分子としだけではなく、低分子化合物による機能阻害の対象となりえることを明らかにした。さらに、CD38 の酵素活性阻害に伴う変化の解析を行うことで、多発性骨髄腫細胞における CD38 NAD 経路の役割、ひいては多発性骨髄腫細胞に特有な代謝経路の解明につながるものと考える。
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