臓器や組織移植における拒絶反応に対しては免疫抑制療法が行われるが、抑制が過剰になると致死的な感染症を惹起する可能性がある。また拒絶反応には個人差があり、その要因として腸内細菌叢の関与が指摘されている。この研究では、歯周病菌による腸内細菌叢の変化を引き起こしたマウスに皮膚移植を行い、正常マウスと比較することで移植免疫に与える影響を調査した。結果、腸内細菌叢を変化させたマウスでは腸内の短鎖脂肪酸や血液脾臓中の免疫細胞に変化がおきており、皮膚移植の生着日数が有意に延長した。これにより、腸内細菌叢が移植免疫における個人差の原因となる可能性が示唆され、今後の免疫抑制療法の個別化につながる可能性がある。
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