膵癌はあらゆるがんの中で最も難治とされるがんの一つである。通常、膵癌は血管に乏しい腫瘍であるため、血液を介した外部からの栄養を得るには過酷な環境であるにも関わらず、増殖し、転移することが知られており、外からの栄養の供給に頼らずに自らエネルギーを産生するための特殊な代謝経路を有しているのではないかと考えた。 我々はアミノ酸の一種であるセリンに注目し、このセリンを自ら活発に合成することでその増殖能を維持している可能性を見出し、またその経路を亢進させる新たなメカニズムを明らかにした。ここを治療ターゲットとすることで難治がんである膵癌の新たな治療法の開発に繋がるのではないかと考えている。
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