本研究では、大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術と薬物療法のハイブリッド治療法の開発に繋げるために、FAK阻害効果を有する徐放製剤を開発することを目的とした。生分解性ポリマーであるポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)を基剤として、FAK阻害剤(PF573228)を含有するナノ粒子を作製した。培養マクロファージ実験系の結果から、FAK阻害剤含有PLGAナノ粒子は、FAK阻害剤単独に比べてFAK活性阻害効果が長期に持続した。限られた条件下ではあるが、ハイブリッド治療という新たなコンセプトの治療法により、大動脈瘤の炎症病態を抑制できる可能性が示唆された。
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