申請者らはこれまでに、正常大動脈組織ではみられなかった免疫グロブリン(IgG)が、大動脈解離組織では局所に沈着し、IgG投与で解離による破裂死が促進されることを発見した。また、血管内皮機能の低下及び炎症応答に細胞老化が関与しているとの報告から、細胞老化による血管内皮バリア機能低下が大動脈壁へのIgGが沈着を来たし、液性免疫及び老化細胞による炎症応答が解離増悪に関与するという仮説を着想した。解離大動脈組織には内皮細胞を初めとする種々の老化細胞を認め、老化細胞除去薬(ABT263)投与により解離重症化及び破裂死が抑制された。遺伝子解析ではABT263投与により、免疫応答及び炎症応答が抑制された。
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