本研究では、ヒト多能性幹細胞から3次元で分化誘導した肺組織(肺オルガノイド)とゲノム編集技術を組み合わせた独自の肺がんオルガノイドモデルの作製と、その病態モデルとしての妥当性を検討し、がん細胞と周囲の微小環境を標的とした新規治療戦略の開発を目指した。ヒト多能性幹細胞を用いて肺オルガノイドを作成した後、がん遺伝子の過剰発現あるいはがん遺伝子とがん抑制遺伝子変異の組み合わせ(共変異)によって、前がん病変様の変化および肺がんの初期腫瘍形成過程を3次元的に再現することに成功した。これらについては、分子標的治療薬への特徴的な薬剤感受性を示し、薬物治療抵抗性克服に向けた新たな知見を得た。
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