研究実績の概要 |
初年度に提出した研究計画書に則り実験を遂行した。前年度に大量出血に伴う腎機能障害モデルの作成が完成したため、当該モデルを用いて実験を行った。 具体的にはドナーラットの外頸静脈から脱血した血液を白血球除去フィルターに通した後4℃で10日間保存した。保存した血液をその後遠心分離し血漿成分を除去したのちに生理食塩水と混和しヘマトクリットが30%となる輸血を作成した。この血液をコントロール群に割り当てたラットに投与する輸血血液とした。
本実験ではランダムにコントロールとHbV群にわけたラットに対して14ゲージの静脈留置針を用いて気管挿管、イソフルランによる麻酔を行い人工呼吸管理とした。その後、尾動脈および外頸静脈を確保しベースラインの採血を行ったのち、両群ともに尾動脈から緩徐に脱血し60分で全血液量に相当する20mLを脱血した。その間、血圧をモニタリングしながら、コントロール群では上記のごとく作成した輸血製剤を、HbV群ではヘマトクリット30%に調製されたHbVを20mL投与した。投与終了後、イソフルランを停止し、蘇生が可能であった個体は抜管し、翌日再度麻酔下に採尿した。その後、2群間におけるCre, BUN, K値, L-FABP値を用いて腎機能障害の程度について検討を行った。 結果として、両群間でCre, BUN, K値などは有意差がなかったものの、L-FABP値はコントロール群で有意に上昇していることが判明した。上記結果からヘモグロビン小胞体は大量出血時に保存血液に比較して腎機能障害の程度が低いことが実験から確認できた。
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