研究課題
様々なタイプの腎障害モデルを作成し、ヒト心房ナトリウム利尿ペプチド(ANP)を投与した。そうして、いくつか臨床に近いモデルも作成した。1、心臓の交感神経刺激(β受容体)により、組織にナトリウム貯留、水分貯留を引き起こすことが分かった。慢性的には心肥大などの問題を引き起こす。急性期でも臨床上特に、敗血症や、急性心不全、高炎症状態(高度侵襲の手術など)では低血圧を引き起こす場合、よくβ刺激薬が投与される。今後の課題として、β刺激薬が投与されている状況ではナトリウム貯留しやすいのであれば、他の利尿薬よりも尿中にナトリウム排泄を促すANPを投与するほうが有用ではないかと考え研究を続けている。2、ANP自体がオピオイドの投与によって血漿中に増加することが報告されている。今回、オピオイドアゴニスト投与により、敗血症性急性腎障害AKIの尿滞留が改善することが見つかった。今後、同様にオピオイドによる敗血症性AKIの改善効果、ANP増加効果などの腎作用部位の特定をサンプル採取し、原因究明を行う予定である。3、薬剤性腎障害モデルとしてシスプラチン投与後のAKIの改善効果の研究も進めている。過去の研究を参考に用量設定したがシスプラチンの強さが強すぎたのか、思うような結果が出ていない。再度容量の見直しなどを行い、予備実験により本研究に使用する適切なシスプラチン誘導性AKIモデルマウスを作ることができた。近位尿細管だけでなく集合管や腎髄質まで幅広く研究を行うため、腎サンプルの採取を行っている。今後、実験で得られた腎サンプルを用いて解析し、ANPによるAKI改善効果の分子機序の解明を実施していく。1,2に関しては論文投稿中である。3に関しては解析後論文投稿予定である。
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Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics
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