上記の研究結果から長時間の照射や多方向照射が必要な深部腫瘍や多発病変においても安定した治療効果を供給できる可能性が示された。BNCTは悪性脳腫瘍を含めた難治性腫瘍に対し期待されている新たな治療である。今回ホウ素クラスターと合成したヒト血清アルブミンはがん集積性タンパク質であり、これを利用し抗がん剤と結合させた薬剤開発が盛んに行われており、本薬剤が脳腫瘍以外の悪性腫瘍にも治療効果を示す可能性があり学術的意義は高いと考える。またBNCTにより悪性脳腫瘍の治療成績は向上しているが、未だ十分なものとは言えずさらなる治療成績の向上は社会的意義の非常に高いものと考える。
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