| 研究課題/領域番号 |
20K18020
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
金 英寛 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 研究員 (30843338)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 骨粗鬆症治療 / 数理モデル / リモデリング / モデリング / 力学的適応 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、細胞動態と、多様な作用機序による薬剤効果を表現した骨代謝・治療数理モデルを構築し、薬剤投与シミュレーションにより骨密度・骨質に対する薬剤効果を理解・予測可能な技術を創成することを目的としている。
本年度は、前年度に構築した力学－生化学連関および破骨・骨芽細胞カップリング機構に基づく骨代謝数理モデルに対して、薬剤投与をモデル化して導入することで、骨代謝・治療数理モデルへの拡張を行った。まず、各薬剤の単回投与後の血中濃度の推移をもとに、単回投与による効果を関数として表現した。次に、反復投与による効果の推移を、単回投与の効果の関数の総和をとることで定式化した。また、骨組織に分布した薬剤が分子や細胞にもらたす作用を、各薬剤の作用機序に基づいてシグナル分子の反応拡散方程式に組み込む形で定式化した。この手法により、薬物動態の異なる薬剤を、統一的に取り扱うことが可能となり、作用機序に立脚した新規薬剤の追加導入を見据えた、拡張性、汎用性の高いモデルが構築された。
さらに単一骨梁を模擬した円柱型の有限要素モデルを用いたシミュレーションによる予備検討により、本システムがモデリングおよびリモデリングの力学的適応への調節効果に対する薬剤修飾を観察可能であることが示された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトは、１）細胞動態に立脚した骨代謝モデルの構築、２）薬剤作用機序に立脚した骨代謝・治療モデルへの拡張、３）薬剤投与シミュレーションの実施、の各課題を各年において進める計画である。初年度に、１）は問題なく達成できており、本年度も、それを拡張する形で２）を遂行することができた。これにより、骨粗鬆症治療薬の効果を細胞動態に基づいて観察可能なモデルが構築され、かつ、単一モデルにおける予備検討も終了しているため、最終年度において、３）に取り組むことが可能であることから、本研究計画は、おおむね順調に進展していると考える。
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度は、構築した骨代謝・治療数理モデルを用いて、薬剤投与シミュレーションを行う。まず、ブタ大腿骨のX線マイクロCT画像を撮像し、これを再構成することでイメージベースト有限要素モデルを構築し、解析対象とする。パラメータ感度解析を実施し、薬剤非投与条件で骨体積が減少するモデルパラメーターを検討することで、骨粗鬆症モデルを構築する。これに対して、代表的な骨粗鬆症治療薬の投与シミュレーションを実施する。シミュレーション結果に対して細胞動態解析と骨形態計測パラメータ解析を行うことで、骨密度・骨質に対する薬剤効果を細胞動態に基づき検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、昨年度同様に新型コロナウイルス流行のため、参加した学会がオンライン開催となり計上していた旅費が発生せず、また感染予防策の一環として研究補助員の雇用を差し控えた。このため、昨年度に引き続いて次年度使用額が生じている。次年度は、感染流行の状況も見極めながら研究活動の拡大を図り、機器購入、旅費、論文作成などへの使用を予定している。
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