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2020 年度 実施状況報告書

ヨード担持インプラントにおける血行性術後インプラント周囲感染の予防効果

研究課題

研究課題/領域番号 20K18024
研究機関金沢大学

研究代表者

井上 大輔  金沢大学, 附属病院, 特任助教 (00707094)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード人工関節周囲感染 / 抗菌インプラント / 遅発性感染
研究実績の概要

ポピドンヨードをチタン製インプラントに担持させたヨード担持チタン製インプラントの抗菌効果は申請者の属する研究グループにより過去に証明されている。しかし、生体内で長期経過後のポピドンヨードが減衰したヨード担持インプラントの抗菌効果についてはは、基礎研究の見地からは未知な部分が残っている。また、臨床現場において時折経験する遅発性インプラント周囲感染における本抗菌インプラントの予防効果についてもさらなら研究が求められており、本研究を計画した。
令和2年度は、まず生体内で長期経過後の減衰したヨード担持インプラントの抗菌効果をin vitroで検討した。5×5cm大で厚み 1mmの試験片を、インプラントの製造工程を考慮して 3種類(チタン・酸化被膜担持チタン・ヨード担持チタン)作成した。通常のヨード担持量は10-15μg/c㎡程度であり、減衰したヨード担持量を2-4μg/c㎡・3-7μg/c㎡として2パターンを用意した。
使用する菌株はMRSA (JCM8702)・P.aeruginosa (NBRC13275)・Candida Albicans (NBRC1594)の臨床上で難治性菌と知られている3菌種を使用した。抗菌効果の検討のプロトコールは、国際的に使用されるJIS基準(JIS Z 2801)にしたがって施行した。過去の我々の研究に準じて、0.4mlの菌液を試験片に滴下し、同サイズ厚さ 0.09mmのポリエチレンフィルムを被せ、細菌を試験片表面に接着させる。その後インキュベーターで37℃ 24時間培養を行った後、希釈平板法により、試験片表面に存在するコロニー数をカウントする方法を採用した。最終的に、減衰したヨード担持チタンが、従来のチタンインプラントよりも有意に細菌数が減少しているかを検討することを目的とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和2年度のヨード担持インプラント長期挿入後の難治性細菌に対する抗菌効果の検討については、減衰ヨード担持インプラントの作成が完了し、各使用細菌の前培養や使用菌量の予備実験などを行った。そして、JIS基準(JIS Z 2801)にしたがって抗菌効果の検討を行い、一部ヨード担持インプラント長期挿入後の抗菌効果につき有意な結果が出てきた。しかし、一部の細菌で試験不成立となったものがあり、前培養または使用菌量の再検討を行う予定としている。そして、この検討については、in vivoモデルで追加実験を行う必要性があると考え、in vivoモデルの構築を検討しているところである。
また、当初から予定していたin vivoでの血行性感染モデルを用いた難治性細菌に対する抗菌効果の検討では、ラット尾静脈からの細菌播種を行い遅発性感染を成立させるモデルの安定化を図っているところである。

今後の研究の推進方策

in vitroでのヨード担持インプラント長期挿入後の難治性細菌に対する抗菌効果の検討においては、一部細菌に関して前培養や使用菌量を再検討し、JIS基準(JIS Z 2801)にしたがって抗菌効果の検討をさらに行い、並行してin vivoモデルの検討もさらに進めていきたいと考えている。
また、血行性感染モデルを用いた難治性細菌に対する抗菌効果の検討については、ラット尾静脈からの細菌播種を行い遅発性感染を成立させるモデルの安定化を確認した後に、インプラント周囲の細菌接着阻害評価・バイオフィルム形成阻害評価・組織学的評価を進めていく予定としている。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は、in vivoでの血行性感染モデルを用いた難治性細菌に対する抗菌効果の検討で、遅発性感染モデルの安定化に時間を要したため、インプラント周囲の細菌接着阻害効果やバイオフィルム形成阻害効果ならびに組織学的評価が施行できなかった。今年度にこれらの検討を遂行するために、研究費を使用する予定である。
また、インプラント長期挿入後の難治性細菌に対する抗菌効果の検討においても、一部菌種では再検討を要するため追加実験が必要であり、並行してin vivoモデルの構築も行った後に同様の検討を行う予定としているため、これらに関しても研究費を使用する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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