研究課題/領域番号 |
20K18083
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小玉 寛健 弘前大学, 泌尿器科, 助教 (50817294)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 腎癌 / 糖鎖解析 / キャピラリー電気泳動装置 |
研究実績の概要 |
腎癌の診断、再発の評価は画像診断を中心に行われているが、有効な腫瘍マーカーが存在しないため、進行癌で診断されるケースも30%程度とされている。さらに正確な診断には腎生検などの侵襲的な検査が必要であり、低侵襲かつ有効なバイオマーカーは開発されていない。当施設では、血清N型糖鎖構造の網羅的質量解析により、画像診断とともに腎癌の早期診断補助となるバイオマーカーとして有用な糖鎖変異を同定したが、臨床応用には質量分析法が大きなハードルであった。令和2年度は、腎癌患者の治療前血清を用いて、キャピラリー電気泳動装置による血清糖鎖プロファイリングを行った。その結果、より短時間に、簡易的に腎癌特異的な免疫グロブリン関連糖鎖の変化が同定された。現在、腎癌患者50名、健常人100名程度の検体が集まっている。N-結合型糖鎖を短時間で、網羅的に解析可能なキャピラリー電気泳動装置(GlyQ)による糖鎖解析を用いて腎癌の新規診断マーカーの臨床応用を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は腎癌患者の治療前血清を用いてキャピラリー電気泳動装置による血清糖鎖プロファイリングを行った。その結果、短時間に、簡易的に腎癌罹患により特異的な免疫グロブリン関連糖鎖の変化が同定された。また現在、他の癌腫(尿路上皮癌、前立腺癌)の検体も集め、健常人との比較検討だけでなく、癌腫間での比較検討を行うことで、より腎がんに特異的な糖鎖変化の同定に着手巣している。以上より、おおむね順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は検体数を増やし、他の癌腫者の治療前血清も用いて、キャピラリー電気泳動装置による血清糖鎖プロファイリングを行い、腎癌特異的な免疫グロブリンの糖鎖構造変異について調査し、腎癌バイオマーカーの開発に着手する予定である。
|