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2020 年度 実施状況報告書

腎移植拒絶反応における補体制御に関する探究的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K18114
研究機関大阪大学

研究代表者

山中 和明  大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (10648017)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード腎移植 / 急性T細胞関連型拒絶反応 / 補体制御因子
研究実績の概要

移植腎の生着率は飛躍的に向上しているが、依然として拒絶反応は長期予後に影響を及ぼす主たる問題である。本研究は、以前、我々が急性T細胞関連拒絶反応症例において補体制御因子(CD46)が低下しており、ラットの同モデルでも補体制御因子(Crry)を抑制すると生着期間が短縮されることを示した。本研究は、補体制御因子を低下させる因子を検討するものである。まず、ヒト尿細管細胞株を用いて、培養の実験系の確立を行った。様々な細胞株での補体制御因子の発現について、検討を行った。ヒト尿細管細胞株では、継代により発現に差が見られたり、細胞株によっては、発現を特定できないものがあったりと、尿細管細胞株の樹立には時間を要したが、HK2細胞株での実験系が安定した結果が得られるとの結論に至った。近位尿細管での補体制御因子(CD46)の発現が確認された。また、現在は、過去の報告にある通り、急性T細胞性拒絶反応の際に上昇する炎症性サイトカインにより、補体制御因子の発現が影響を受けるかを調べた結果、いくつかの炎症性サイトカインとの共培養により、発現の低下を示唆する結果が得られている。それらの炎症性サイトカインが急性T細胞関連型拒絶反応において、上昇するかどうかについては、ラット急性T細胞関連型拒絶反応モデルを用いて確認している。そのラットのモデルを用いて、補体制御因子の発現に関する検討を行ったが、人間の補体制御因子(CD46)にあたるラットのCrryの発現については、免疫組織染色で糸球体に発現していることがわかっており、それらの発現が、炎症性サイトカインの投与により発現が低下するかを検討しているが、現在のところ有効な実験結果が得られておらず、今後も投与方法や投与量などでの検討が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

動物実験施設の移設により、一時期、動物実験の遂行が不能であったため、動物実験分野の実験が遅れている。現在は、新たな動物実験施設の準備が整ったため、順次実験を再開させている。また、細胞株の樹立についても、適切な実験系を選定するのに、時間がかかったが、現在は、HK2細胞での実験系を確立させることができたため、適宜研究を勧めていく予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、補体制御因子を抑制した細胞株と維持された細胞株に発現する遺伝子を解析し、そこで差の見られた遺伝子群がどのように補体制御因子の発現に作用しているのかを検討していく予定である。現在は、いくつかの炎症性サイトカインとの共培養により、補体制御因子の発現が抑制される可能性を示せているため、そちらの側面からも治療応用が可能か検討していく。そこで得られた知見から、ラットへの薬剤を投与し、移植腎の生着期間が延長できるか、組織中の拒絶反応所見の差があるかを見ていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。

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公開日: 2021-12-27  

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