[目的] 2015年包括的OMICSデータあるいは申請者らのこれまでの報告に基づき、AMACR(a-methylacyl-CoA racemase)、AR(androgen receptor)、ARV7に焦点を絞り、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)との関連性を解明する。また新たにCRPC細胞とアミノ酸トランスポーターであるASCT2(SLC1A5)との関連性も検討に加え る。 [方法] ヒト前立腺癌細胞株であるLNCaP(CSPC細胞株)と、ARバリアントであるARV7発現を有する22Rv1(CRPC細胞株)を用い、in vitroでASCT2を標的としたsiRNAによる発現抑制療法と、ARのantagonistであるEnzalutamide(Enz)を使用した実験を行い、単独、または併用での細胞増殖形態やWestern Blotting(WB)を用いたタンパク発現レベルの解析を行った。細胞培養は、ウシ胎児血清(FBS)、チャコール/デキストラン処理を行ったFBS(CSS)を含むRPMI培地を使用し た。 [結果] CRPC細胞株である22Rv1を用い、同様のASCT2抑制療法を行い、その細胞増殖形態とAR、ARV7発現についてWBを用い検討した。22Rv1の細胞増殖能は、FBS、CSS培地下ともに、コントロール群と比較しASCT2抑制下で有意な低下を認めた。また、いずれの培地下においても、ASCT2抑制下で、ARV7の発現低下を認めた。しかしながら、AR発現レベルに影響を及ぼさなかった。これらの結果から、前立腺癌細胞において、ASCT2抑制がCSPCだけでなく、ARV7陽性CRPCにおいても細胞増殖を抑制できる可能性が示唆された。
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