これまで腎臓ではミオイノシトール代謝により浸透圧調整を行っていることが知られていたが、腎癌におけるミオイノシトール代謝の変化や細胞機能へ与える影響は明らかではなかった。今回我々の研究よって、腎癌では細胞へのミオイノシトールの新規供給が低下している可能性が示唆された。腎癌へミオイノシトール供給する経路を回復させることで細胞の増殖制御ができること、またこの経路の阻害が細胞増殖を亢進させることが明らかになった。これは細胞へミオイノシトールの内的および外的な新規供給どちらに置いてもみられており、腎癌の新規治療に向けた分子標的としての応用や薬物療法の開発につながる可能性が示唆された。
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