研究課題/領域番号 |
20K18149
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
加藤 大貴 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (00620931)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | セルトリ細胞 / 血液精巣関門 / 男性不妊 / 停留精巣 |
研究実績の概要 |
血液精巣関門の成立に関わる因子の探索に着手した。1細胞RNA-sequence法を用いて思春期セルトリ細胞の特異的遺伝子発現の同定するために、酵素処理を行い、精巣内の細胞を分散・セルトリ細胞のみ(精細胞、ライディヒ細胞を除去)を回収することを試みた。分散させた細胞を位相差顕微鏡、蛍光免疫染色で確認したところ、セルトリ細胞が1細胞ずつ分散していることを確認した。しかし、Sox9,WT1, DDX4, LHCGRによるRTPCRの結果から、セルトリ細胞に特異的に発現する遺伝子の増幅がみられたものの、精細胞やライディヒ細胞特有の遺伝子の増幅もみられ、予想したように1細胞ずつに分散したセルトリ細胞を回収することができなかった。セルトリ細胞はtight junctionなどさまざまな接着因子によって、基底膜や隣接した細胞と固着していることから、精巣内の細胞を分散することが自体が困難であることが予想された。そこで、現在は新しい技術である空間的遺伝子発現解析を用いて、セルトリ細胞の血液精巣関門の成立に関わる因子を同定する試みを開始した。精巣の組織切片を作成することにより、組織内の細胞の位置情報を保ったまま、1細胞ごとのRNA発現解析が可能である。この技術を用いることで、精細管内の細胞の位置と形状から細胞腫を同定し、かつ細胞を分離することなく、RNAシークエンスを行うことができる。現在、この方法で解析が可能か、予備的な実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
酵素処理による細胞の分散がうまくいかなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新しい技術である空間的遺伝子発現解析の技術を用いることで、細胞を分散することなく、1細胞RNAシークエンスが可能になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
1細胞からmRNAを抽出・増幅し、遺伝子発現量を解析する技術(1細胞 RNA-sequence)を用いて停留精巣モデルにおけるセルトリ細胞の機能解析を行う計画である。計画自体は順調な滑り出しであったがCOVID-19による通常の医療業務が大幅に変更となり、予定してていた研究を進めることができなかった。また国際・国内学会出張も計画していたが、出張することもできなかった。このため次年度使用が生じた。最終年度として、停留精巣のセルトリ細胞で発現が変化している遺伝子群を同定し、血液精巣関門の形成に関わる因子を解明していきたい。
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