研究課題
若手研究
ポリグリセロールで表面コーティングしたナノ粒子が活性酸素種を消去する効果があることは本研究開始前に実証済みであったが、さらに合成方法の改良を行った。具体的にはポリグリセロールのコーティング層を二重にしてナノ粒子にさらに強力な活性酸素種除去能を持たせることに成功した。次に、マウスの新生児低酸素性虚血性脳症モデルに対して、ポリグリセロールで表面コーティングしたナノ粒子を血管内投与することで、脳障害および運動機能障害が軽減されるかについて検討を開始した。現在、上記の動物実験を継続中である。
産婦人科
子宮内もしくは分娩時の低酸素環境によって引き起こされる新生児低酸素性虚血性脳症は、脳性麻痺などの中枢神経障害の原因となり、周産期医療における最も重篤な疾患のひとつであるが、現在、治療効果が確認されているのは脳低温療法のみで、それも新生児HIEの発症率を11%低下させるに留まる。本研究において新規に開発したナノ粒子は新生児低酸素性虚血性脳症の病態の鍵となる活性酸素種を強力に除去することができる。本ナノ粒子を用いた治療法を確立できれば、過去60年低下しない脳性麻痺の発症率を下げることが期待できる。