研究課題/領域番号 |
20K18169
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
葉山 智工 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (70819903)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 卵巣胚細胞性腫瘍 / 発癌 / リプログラミング / モデル動物 |
研究成果の概要 |
卵巣胚性癌(EC)は形態学的未熟生殖細胞からなる悪性腫瘍である。卵巣ECは卵子から生じるとされているが、動物モデルもなく発癌機序は未解明だった。そこで我々は、iPS細胞技術を応用し「リプログラミングが誘導できる」実験動物卵巣で、卵巣全体をリプログラミングし、発癌の形態学的・分子生物学的解析を行った。卵巣内ではリプログラミングを受けた、減数分裂前の卵子が単純性嚢胞を形成し、その中で癌発生が生じ、ECに至るのが観察された。またその際、少数のがん遺伝子の発現変化がECの増殖誘導と関係していた。ヒトEC細胞株でも同様の変化が検出された。我々のモデルはヒト卵巣ECの研究の強力なツールとなると期待される。
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自由記述の分野 |
産婦人科学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
卵巣胚性癌(EC)はAYA世代に好発する卵巣悪性腫瘍であり、大部分の症例は進行癌で発見され、生命は助かるが妊孕性は失われることが多い。ECの発癌の原因はわかっておらず、早期発見法も確立されていない。我々の開発した発癌動物モデルは、卵巣からECの発癌を誘導する動物モデルを世界で初めて提供した。さらにこのモデルで、卵巣ECの発がんの形態学・分子生物学的機序を解明した。このモデルはECの早期発見方法開発や、化学療法開発などの研究で強力なツールとなることも見込まれる。また本研究は2023年5月に行われた第75回日本産婦人科学会学術総会の婦人科腫瘍部門でJSOG Congress Awardを受賞した。
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