研究課題/領域番号 |
20K18191
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
白蓋 雄一郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00845050)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 黄体化 / 顆粒膜細胞 / ゲノムワイド解析 / ヒストン修飾 |
研究実績の概要 |
卵巣ではLHサージを契機に、卵胞内の顆粒膜細胞が黄体化(分化)し、プロゲステロン産生能の獲得、卵成熟、そして排卵という劇的な変化がおこる。この過程が、引き続く黄体の形成にとって極めて重要である。我々は、RNAシークエンスを用いた網羅的遺伝子発現解析によって、LHサージから排卵までの短時間で約6000もの遺伝子の発現が変化することを見出した。これらの遺伝子発現は経時的に変化することで、顆粒膜細胞の黄体化に寄与している。これまでの遺伝子発現制御の研究は個々の遺伝子に焦点を当てたものであり、DNA側のエピジェネティックな変化に着目した研究は極めて少ない。本研究では、卵巣顆粒膜細胞の黄体化により転写活性が増減している遺伝子のプロモーターやエンハンサー領域のヒストン修飾状況などのエピゲノム情報をゲノム全域にわたり取得し、これらのエピジェネティックな機序が黄体化におけるゲノムワイドな遺伝子発現変化にどのように関わっているのか明らかにすることを目的とした。今年度はChIPシークエンスを用いて、ヒストン修飾(H3K4me3)のゲノムワイドなステータスを調べた。その結果、黄体化過程でH3K4me3レベルが増加した領域は約4500領域、減少した領域は約5500領域であった。この情報をRNAシークエンスと統合し、H3K4me3によって制御される遺伝子を同定した。これらの遺伝子が関与する細胞機能をGene Ontology解析によって調べたところ、黄体化において重要と考えられる機能が含まれていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H3K4me3のChIPシークエンスによって、H3K4me3変化領域の情報は得られた。しかし、H3K27ac、H3K27me3のChIPシークエンスでは、得られたリードが少なく、ヒストン修飾の集積を検出できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
H3K4me3の情報は確立されたので、計画に沿って統合解析を進める。H3K27ac、H3K27me3のChIPシークエンスを再度行うための検体を作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度に実施できなかった次世代シークエンサー実験があったため、また海外学会への参加が中止となったため、未使用額が生じた。この未使用額については2021年度の研究費と合わせて、次世代シークエンサー実験に充てる。
|