研究課題
若手研究
ルミカン遺伝子欠失マウスで角膜全層切開モデルを作成し、ルミカン遺伝子欠失マウスでは①角膜実質創傷治癒が遅れること、②筋線維芽細胞のマーカーであるαSMAの発現が抑制されていること、また、眼培養線維芽細胞を用いた研究でルミカン遺伝子欠失マウスの培養細胞において③TGFβ添加時のαSMA発現が抑制されること、④収縮を評価できるゲルのキットを用いた研究でゲルの収縮性が有意に低下することを報告した。(Suzuki, E et al, Ocular Surface. 2023)
角膜創傷治癒
創傷治癒の遷延は感染リスクの増加、血管新生、最終的な治癒時の線維瘢痕化によって視力障害の大きな原因となる。従って角膜上皮や実質の創傷は炎症を制御しつつも速やかに治癒することが求められる。今回の研究にて、lumicanは角膜実質創傷治癒に促進的に関与することを解明した。速やかな角膜実質の創傷治癒を実現する新たな治療戦略の樹立は治癒不全の遷延化の防止や過剰な瘢痕形成の抑制などの面で極めて意義深い。他組織の創傷治癒過程でも同様の機序の存在が想定できるので、ルミカンC末端ペプチドを用いた皮膚での褥瘡治療などルミカンペプチドの角膜実質での作用に基づいた新規治療戦略を提唱できる可能性を想定している。