研究課題/領域番号 |
20K18508
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
池田 淳史 岡山大学, 大学病院, 助教 (60710150)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯周病 / 破骨細胞 / ADAMプロテアーゼ / Notchシグナル経路 |
研究実績の概要 |
日本国民の約80%が罹患している歯周病は、歯周病源細菌の感染に伴い、病的に誘導された破骨細胞によって生じる。そのため、破骨細胞分化の詳細なメカニズ ムを解明することは、歯周病の発生や予防に大いに役立つと考え、 1. 申請者がアメリカで研究していたタンパク質であるADAM10が、破骨細胞にどのように関わっているかを明らかにし、歯周病の発症メカニズムだけでなく、骨のリモデリングにおけるメカニズムの一端をも解明すること 2. そこから得られた知見を元に、現在歯科領域で問題となっているMRONJを引き起こすBP製剤の代替薬を開発すること の二点を目的に研究を行っている。 今回着目しているADAM10はNotchシグナル経路に大きく関与していることがわかっており、まずはin vitroの実験系において、生理的条件下で破骨細胞を分化さ せた時のNotchシグナル経路に必要なタンパク質の変化をRNAレベル、及びタンパク質レベルで解析した。その結果、破骨細胞分化のごく早い時期において、 Notchシグナル経路のうちのNotch2とJagged1の発現が上昇していることが判明した。このことから、ADAM10が破骨細胞分化において何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。 その結果をもとに、ADAM10阻害剤を用いて、破骨細胞分化が抑制されるか確認したが、残念ながら、抑制されなかった。Notchシグナル経路に大きく関わるもう一つのADAMプロテアーゼにADAM17がある。その阻害剤を用いると破骨細胞分化が抑制された。さらにJagged1の中和抗体でも同様の結果が得られた。コンディショナルノックアウトマウスの作製は費用の面から難しいので、今後は歯周組織に炎症を惹起させた歯槽骨吸収モデルマウスを使用し、そこにADAM17の阻害剤やJagged1の中和抗体を導入することで、骨吸収が抑制されるか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroの実験系において、生理的条件下で破骨細胞分化にNotchシグナル経路が関与していることが判明し、ADAM10が破骨細胞分化に関与しておらず、ADAM17が関与していることが示唆されたから。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroの実験系では多くの知見が得られたので、今後はin vivoの実験へ移行する。その際、コンディショナルノックアウトマウスの作製は費用の面から難しいので、歯周組織に炎症を惹起させた歯槽骨吸収モデルマウスを使用し、そこにADAM17の阻害剤やJagged1の中和抗体を導入することで、骨吸収が抑制されるか検討する。 時間的な猶予があれば、in vitroの実験系において、TNF-aを使用した、擬似的な炎症環境下での破骨細胞分化におけるNotchシグナル経路の動態について解明する予定である。
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