歯周病は慢性炎症性疾患であり、そのリスク因子の一つに酸化ストレスが考えられている。高齢患者の歯周組織においては、口腔内細菌やメカニカルストレスなどの環境ストレスに対する適応能力が減少する一方で、酸化ストレスの増大が報告されている。本研究成果により、環境ストレスが増大した老化ヒト歯根膜細胞においては、損傷ミトコンドリアの標識システムとオートファジーによるクリアランスの異常が、損傷ミトコンドリアの蓄積の要因の一つであることが示唆された。これらの結果は、ミトコンドリアの機能維持とROS制御に基づく、新規の歯周病予防・治療法開発のための分子基盤の構築につながるものである。
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