加齢は歯周病の進行における重要なリスク因子の一つと考えられている。一般に加齢に伴う疾患の増悪には、「細胞老化」が関与しており、歯周組織においても加齢に伴う老化細胞の増大が観察される。申請者らは歯周組織の老化細胞において、有害な二価鉄を無害な三価鉄に還元するタンパクである、Ferritinの発現増加を見出した。生体内の鉄は、エネルギーの生産など恒常性維持にとり重要であるが、過剰な鉄は活性酸素を過産生し、組織障害をもたらすことが知られている。本研究では、歯周組織におけるFerritin-鉄代謝の生理的役割を検討し、高齢者に特有の歯周病の病態生理に及ぼす影響を解明した。
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