咬合機能の維持・回復には,歯根膜の組織特性の理解が不可欠である.これまでの研究から,歯根膜細胞は部位特異的な特徴を有する不均一な組織であることが間接的に示唆されているが,その詳細と制御メカニズムについては依然として不明である.本研究では血管構造に乏しいセメント質近傍における歯根膜線維の成熟度が高い現象に着眼し,低酸素に起因する線維形成の活性化が,歯根膜組織の部位特異性を生み出している可能性を明らかにすることを目的とする.歯根膜の部位特異性の理解は,補綴処置に付随して歯周組織に生じる,様々な臨床症状を生物学的に理解するための基礎的情報として極めて重要である.
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