Cowden症候群(CS)患者の末梢血単核球(PBMC)をBaffyCodeから採取し、センダイウィルスを感染させ、無血清培養条件下でCS患者由来疾患特異的iPS細胞を樹立し、維持可能であった。本細胞は他の健常人由来のiPS細胞と同様の未分化性多分化能を有し、遺伝子発現パターンも類似していた。しかしCSの原因遺伝子であるPTENαの遺伝子発現とタンパク発現は約半分に低下していた。本CS患者の遺伝子変異はPTENヘテロ接合性であり、疾患発症の原因になっていると考えられた。さらにCS患者と健常人のPBMCおよびiPS条件下でのPTENmRNAのマイナーバリアントの発現量を確認したところ、CS患者は一部のイントロンが翻訳されるPTENδが増加しており、PTENδを解析した結果、変異アレルから発現していることが確認された。変異PTENδは機能せず、分解を受ける可能性があり、これによりPTEN総発現量の低下をきたしていることが示唆された。 一方、レチノイン酸およびEGFでの上皮系への分化誘導実験であるがp63やCK5の発現する上皮系の細胞が誘導されたが、細胞は積層化せず、増殖がよわく、継代に不向きであった。レチノイン酸およびEGFにOSCC株の培養上清を追加し、腫瘍幹細胞への誘導を試みたが、あまり変化は認めず、OSCC細胞と直接的な共培養が必要なのかもしれない。低吸着プレートにて、OSCC細胞株と誘導したiPS由来癌幹細胞様を混合培養しスフェアー形成を行った。スフェアー中の細胞増殖、幹細胞の分布、遺伝子発現を確認している
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