研究課題
若手研究
本研究は、p53KOマウスを用いて、骨形成に対するp53の役割を検討した。その結果、野生型マウスと比べて、p53KOマウスの骨芽細胞増殖能は高く、骨欠損修復は早かった。p53KOマウスでは、runx2やosterixの発現が高く、一方、骨芽細胞の機能を抑制するsclerostinの発現が抑制されていた。また、p53KOマウス由来のマクロファージは、破骨細胞形成能が低かった。これらが起因して、p53KOマウスの骨欠損は、早期に修復したと考えられる。
口腔外科学
本研究はp53欠損が骨芽細胞の増殖を促進することに加え、骨細胞のスクレロスチン発現を一時的に阻害することで、骨欠損部に骨形成が促される環境になることを明らかにした。この得られた結果は、これまで知られていた腫瘍抑制作用だけでなく、骨形成促進に働くというp53の新たな役割を示したことは学術的意義がある。さらに、これらの結果は、今後の口腔外科学ならびに関連歯科医学の発展に寄与するところが大きいため、社会的意義は高いと考えられる。