研究課題
若手研究
舌小帯は、発音や歯列形成に影響を与える非常に重要な構造体であり、その異常は強直症などの疾患を引き起こす。しかし、舌小帯がどのように形成されるかは全く明らかとなっていない。その理解には、分子レベルでの検索が必要である。本研究結果から、Lgr5、Tbx22、Osr2の発現が重なった最も近心部位が小帯形成細胞群であり、それらの細胞が、lingual-buccal axisで移動することで、舌小帯が形成されることが明らかとなった。その細胞移動が障害されると、異常な舌小帯形成が生じることが示唆された。
歯科矯正学
歯列、発音、口腔清掃は、舌小帯の形態に大きな影響を受ける。舌小帯が高位であったり、短い場合には、発音障害や歯列不正など様々な問題を引き起こす。舌小帯の治療後に、発音障害、歯列不正が残存した場合、その処置には長い時間を要することがある。将来、異常な舌小帯を予測し、早期に対処することが望ましいが、舌小帯の形成メカニズムは全く明らかとなっていない。分子レベルでの本研究成果は、今まで分子生物学的知見がほとんどなかった舌小帯に新たな展開をもたらし、舌小帯異常の新たな治療法や再生療法の基盤的知見となる。