研究課題
若手研究
顎顔面形成異常は多種多様な機能不全や審美障害を伴い、患者のQOLを著しく低下させる。口唇口蓋裂はその中でも頻度の高い先天性異常であり、多様な表現型を示し、それぞれの症状のメカニズムは完全には理解されていない。過去の研究や代表者の所属する研究室のこれまでの研究結果から胎生時におけるレチノイン酸(RA)シグナルの異常が上記病態に関与することが証明されている。本研究ではRAを過剰摂取させ口蓋裂を発症したマウスにおいて舌骨筋を含む顎顔面の筋肉の欠損や変性がみられることを確認し国際誌に発表した。
矯正歯科
顎顔面筋の胎生期における発生メカニズムは体幹筋のそれに比較すると未解明な部分が多い。ヒト疾患においても先天的に顔面筋が欠損する場合がある事が知られているが細胞生物学的なメカニズムは不明である。今回の我々の解析から適切なレチノイン酸シグナルが胎生期における顔面筋の前駆細胞の発生に必要不可欠であることを解明した。本研究の成果は顎顔面筋の異常を伴う先天性疾患の新たな分子生物学的、細胞生物学的なメカニズムを解明したものであり将来的に新たな診断方法や治療方法の開発の基盤となる結果である。