過去30年間の保健医療分野におけるへき地尺度の開発に関する論文、公的文書についてのスコーピングレビューを行った。米国、オーストラリア、カナダなどを中心に17の論文が組み入れられ、それらの論文で用いられている尺度開発の方法及び信頼性・妥当性検証の方法を検討した。へき地尺度として用いられている頻度が高いものは人口・人口密度、高次医療機関までの距離・時間・費用、医療者と人口の比率などであった。近年のこの分野の論文では地理情報システムを活用しているものが多く、わが国でのへき地尺度の開発にも地理情報システムが有用と考えられる。この研究はSystematic scoping review of factors and measures of rurality: toward the development of a rurality index for health care research in Japanとして論文化されている。その知見をもとに、日本でのへき地尺度を開発するための研究計画書を作成し、倫理委員会の承認を得た。また、並行してへき地医療教育のための研究グループの立ち上げを行った。 2021年から2022年にかけて、へき地尺度の開発及び信頼性・妥当性の検証を行い英語論文として投稿する予定である。開発したへき地尺度は、引用を明示すれば無料で使用できるように公開する。開発したへき地尺度の使用を広く促すために、尺度の意義、開発過程などを記載したホームページを作成する。
|