研究課題/領域番号 |
20K18855
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
香束 昌宏 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 後期臨床研究医 (90847394)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 服薬アドヒアランス / 腎移植 / ポリファーマシー / 免疫抑制剤 |
研究実績の概要 |
腎移植患者は拒絶反応によって移植腎廃絶となるリスクがあるため、移植腎が機能している限り免疫抑制剤の服用を続ける必要がある。実際、拒絶反応による移植腎廃絶の約半数はアドヒアランス不良に起因しており、服薬アドヒアランスの向上により腎移植の長期成績の改善が期待される。しかしながら、移植患者に適し、質が担保された日本語版の服薬アドヒアランス尺度は存在しておらず、日本では服薬アドヒアランス研究があまり行われていない。本研究では海外で移植患者に用いられている服薬アドヒアランス尺度Basel Assessment of Adherence to Immunosuppressive Medications Scale (BAASIS)の日本語版の開発を行う。その後、BAASIS日本語版を用いてアドヒアランス不良のリスク因子の特定および服薬アドヒアランスを向上させるシステム構築を行う。これにより移植患者の服薬アドヒアランスの向上および長期成績の改善に貢献することが出来る可能性がある。 令和2年度はBAASISの改訂に伴い日本語版の作成に時間を要した。アドヒアランスのリスク因子として多剤服用(ポリファーマシー)がある。アドヒアランス研究の前段階として、当院の腎移植患者の服薬数の実態を調査し、課題の特定に努めた。 そしてアドヒアランスに関する文献検討をPubMed、医中誌を用いて行い、調査票を作成した。併存的妥当性の検討には服薬アドヒアランス尺度12項目版を用い、基準関連妥当性にはMedication Event Monitoring System(MEMS)を用いることとした。腎移植患者の服薬アドヒアランスに関する調査を実施するために所属する施設の研究倫理委員会へ研究計画書を申請しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
BAASISの改訂が行われたため、日本語版の作成に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
研究倫理委員会の承認が得られれば、数名の腎移植患者を対象に認知デブリーフィング(実際に翻訳された尺度に回答してもらい、わかりにくい項目がなかったか、項目の内容や 概念の理解は適切かを確認し、吟味する)を行い、最終の修正を行う。 完成したBAASIS日本語版を使用して、COSMINチェックリストにおいて重視される指標の妥当性、信頼性についてBAASIS日本語版の検証を行う。BAASIS日本語版には記入式と面接式があり、それぞれ100名ずつとして、当院の腎移植外来に通院している腎移植患者約200名を対象とする。BAASIS日本語版の妥当性、信頼性の検討と同時に服薬アドヒアランスの関連因子の検討を行う。そのため、調査票にて服薬アドヒアランス向上のための取り組みについての調査やeヘルスリテラシーや社会的望ましさバイアスについての調査を行う。調査結果から服薬アドヒアランスに関与する要因および質問票の結果を踏まえた服薬アドヒアランス向上させるためのプログラムの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
eCAPの購入は大阪市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学教室の研究費で購入した。またコロナ禍のため学会への旅費が不要となった。
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