研究課題/領域番号 |
20K18870
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
野村 理 弘前大学, 医学研究科, 助教 (20866222)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 感情 / 達成感情 / ラーニング・サイエンス / 医学教育 / 医療者教育 |
研究実績の概要 |
医学教育感情尺度の妥当性検証の論拠を因子分析を用いて検討し、自他識別関連性の感情群がアジア圏に特徴的なものである可能性が示され、その成果をアジア太平洋医学教育学会で発表し、医学教育での感情に関する異文化研究の可能性について議論がなされた。同内容の原著論文を医学教育国際雑誌に投稿予定である。 コロナ禍で注目されている遠隔シミュレーション教育で医学生に生じる感情が通常の対面シミュレーションで同等である可能性も示唆され、遠隔シミュレーション教育の有効性に関する国際的にも新たな知見を2021年のアジア救急医学会で発表した。また、医学生約120名の臨床推論におけるProblem-based learningをセッティングとした医学教育感情尺度のデータ収集を実施し、Problem-based learningでのチューターが教員と学生とで実施した場合の受講生に生じる感情のパターンが同等であることを示し、感情尺度は教育手法の有効性評価にも活用できることを2022年欧州医学教育学会で発表する予定である。さらには、小児救急領域での小児救急関連の学習者の臨床推論能力と医学教育感情尺度で測定された感情群との関連について検討し、卒後専門教育レベルでの臨床的パフォーマンスと感情との関連についての新たな知見を得て、2022年国際救急医学会において発表する予定である。総じて、卒前から卒後教育に至るまで多様な教育セッティングにおいて尺度測定を行い、妥当性検証を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究データ収集を進め、感情尺度の妥当性検証の新しい論拠に関する成果発表を国際学会で実施することができた。また、遠隔シミュレーション教育という新しい研究セッティングで尺度のデータ収集を実施し、その実用性について評価し国際学会にて報告発表した。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーション教育などの新たな教育セッティングでデータ収集を行い、チームパフォーマンスやスキルパフォーマンスと感情との関連について検討し、尺度の妥当性検証の更なる論拠の収集を行う。これまで発表した知見について論文を執筆し、普及に努める。また、客観的感情データ収集方法である皮膚活動電位や標的追視装置による生理学的データと感情尺度の関連についても研究を拡張する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染流行に伴い、学会や会議のための出張がオンラインとなり旅費などの費用が使用されなかった。次年度は、研究機器の購入などに科研費を優先的に使用する予定である。
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