本研究は,ファーラー位姿勢中の体幹角度が循環器系へあたえる影響を詳細に検討した.健康な若年成人では,体幹起こす角度が30°,45°,60°のそれぞれで,体幹全体を起こす姿勢よりも上部体幹を中心に起こす姿勢で循環量が保たれる事が明らかになった.特に上部体幹を30°起こす姿勢は,体幹全体を30°起こす姿勢より,1回拍出量は増加し,心拍数の上昇を抑えられた.この時の左室駆出時間は,上部体幹を30°起こす姿勢でより増加した.また,上部体幹を30°起こす姿勢は,仰臥位姿勢とほとんど同等の1回拍出量,心拍数,左室駆出時間となりえることが本研究により明らかになった.
|