研究実績の概要 |
本年度は、令和3年度に配布した看護師のクロノタイプと労働環境・生活環境に関する質問紙の解析を行った。 本課題の研究目的は、生体リズムの個人差であるクロノタイプ(朝型・夜型)に焦点をあて、それぞれのタイプに適切な交代制勤務への適応方法を明らかにすることである。対象者は関東圏の病院で交代制勤務に従事する看護師であり、1,861名から回答が得られた(回収率:42.3%)。 本調査では上記の目的に沿って、夜勤日における睡眠や食事についてクロノタイプで比較を行った。統計解析による比較の結果、(1)夜型タイプは朝型タイプに比べ、夜勤前・夜勤中に睡眠(昼寝や仮眠)をとらない人の割合が高いこと、(2)夜勤中の仮眠時間について夜型の方が朝型に比べて短いこと、(3)その一方で夜勤中に希望する仮眠の長さは夜型の方が長いということ、(4)夜勤後は睡眠の頻度に差はないこと、(5)夜勤後の睡眠時間については夜型タイプの方が長いということ、(6)夜型は夜勤後の眠気や不安といった自覚症状が強く、夜勤後は朝型よりも疲労などを強く感じていること、(7)夜勤そのものに対しての負担感は夜型がわずかに低いということ。が明らかになった。これらの結果は、クロノタイプによって夜勤日の睡眠に対する生理的欲求に差が生じることを反映しており、クロノタイプを考慮した夜勤への適応策が必要であることが示唆された。 以上の研究内容から、令和4年度は夜勤時に朝型・夜型のそれぞれが感じる生活上・仕事上での自らの理想とのギャップを明らかにし、クロノタイプごとの夜勤適応策として挙げるべきポイントを明確にした。
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