令和4年度は、離島に居住する乳がん患者14人に半構造化面接調査を実施した。そのうち4人が乳房の異常に気づいてから治療に結びつく受診に至るまでに1年以上の時間を要していた。4人の語りから受診遅延の関連要素を質的帰納的に分析した。 結果、がん医療専門機関への受診までに、【乳がん検診未受診】、【乳がんだと確信できない症状の出現】、【島に専門的な医療資源がない】、【家族に相談する】といった要素が複合的に存在し、受診遅延と関連していることが明らかになった。 これらの要素を踏まえて、離島に居住する乳がん患者に特徴的な看護援助の方略を見出すことを目的とした会議を開催した。2022年10月に地域がん診療病院を有するA離島において、A離島に居住する乳がん患者(1人)と沖縄本島で離島の乳がん患者を支援している乳がん患者会メンバー(3人)、研究者でディスカッションを行なった。2023年3月に地域がん診療病院を有さないB離島において、B離島に居住するがん体験者(2人)とその家族(1人)、役場保健師(2人)、病院(高度実践看護師、ソーシャルワーカー)、沖縄本島で活動するがん看護専門看護師(2人)、ピアサポーター(1人)とディスカッションを行なった。以上より、医療資源の乏しい離島において、受診遅延を予防するためには、<乳がんに関する最新情報の提供>と<専門家に相談できる場の提供>を行う支援が重要であることが導き出された。 これらを踏まえて、離島に居住する乳がん患者の支援と最新情報の提供を目的として、2023年1月29日に沖縄本島から乳腺外科専門医をA離島に招聘し市民公開講座・個別相談会(乳がん患者会共催、C市・D町後援)を開催した。
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