研究課題
本年度は,脂質異常症の男性HIV感染者を対象にスマートフォンアプリを用いた食事・運動指導プログラムの有効性を評価した.適格基準を満たした108名のうち,除外基準に該当したものを除いた53名に研究説明を行い,介入群22名,対照群20名の計42名を対象とした.最終的に介入群,対照群ともに19名,計38名がプロトコルを完了した(脱落率10%).平均年齢は47.1±7.6歳で,40歳代が大半を占めた.HIV感染期間とART内服期間は10年以上が最も多かった.ベースライン時の平均CD4数は500 copies/μL以上であり,80%以上の参加者がHIVウィルス量20 copies/mL未満であった.血清脂質値及び身体測定値は,両群間に有意差はなかった.主要評価項目は,2群間におけるLDLコレステロール値のベースライン時から介入後6か月時点までの変化量とし,介入群と対照群の間でコレステロール値の減少に有意差が認められた(それぞれ-4.00 ± 20.2 mg/dL vs 10.11 ± 21.1 mg/dL)(95%CI 0.535 to 27.676, p=0.042).副次評価項目は,各群におけるベースラインと介入後6ヵ月時点の血清脂質値と身体測定値であり,介入群では腹囲にのみ統計的有意差が認められた(p=0.048).介入群において,ベースラインから介入後6か月において,総エネルギー,タンパク質,炭水化物,脂肪,塩分の摂取量が有意に減少した(p<0.05).また,介入群における食事と身体活動の行動変容ステージ及びソーシャルサポート,食事の自己効力感,LSO-Uは,ベースラインから介入後6ヶ月まで有意に増加した(p<0.05).
2: おおむね順調に進展している
本研究におけるプログラムの介入は終了した。介入後6か月時点の主要評価項目については既報の通りである。
今後、6か月以降12か月までの追跡期間を含めたプログラムの有効性を評価する。
オープンジャーナルの掲載料が少額に抑えられたため次年度使用額が生じた。2023年度は追跡期間を含めたプログラム評価に伴う論文投稿及び学会発表費用として使用する。また、看護師への教育プログラム開発に伴う会議費用に使用する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Japan Journal of Nursing Science
巻: n/a ページ: e12535
10.1111/jjns.12535