研究課題
本年度は,脂質異常症の男性HIV感染者を対象にスマートフォンアプリを用いた食事・運動指導プログラム介入後の持続効果を評価した.追跡期間中,介入プロトコルに基づく看護師による目標設定や計画立案の個別介入は通常の面談に戻し,スマートフォンアプリへの入力は対象者の任意とした.本研究の対象者は,介入群22名,対照群20名の計42名であり,最終的に介入群,対照群ともに19名,計38名が6ヶ月間の介入プロトコルを完了した(脱落率10%).プロトコル終了後,介入群17名,対照群19名,計36名が6ヶ月の追跡期間を完了した(脱落率14%).平均年齢は47.2±7.7歳で,40歳代が大半を占めた.HIV感染期間とART内服期間は10年以上が最も多かった.ベースライン(BL)時点における両群間の血清脂質値及び身体測定値は有意差を認めなかった.主要評価項目は,2群間におけるLDLコレステロール値のBL時から介入後12か月時点(追跡期間6ヶ月を含む)までの変化量とし,介入群と対照群の間でLDLコレステロール値の変化量に統計学的有意差を認めなかった(それぞれ-10.4 ± 16.1 mg/dL vs -1.42 ± 16.6 mg/dL)(95%CI -20.0 to 2.2, p=0.111).副次評価項目は,各群におけるベースラインと介入後12ヵ月時点の血清脂質値と身体測定値の変化量であり,両群において統計的有意差を認めなかった.介入群において,介入後12か月時点までアプリを使用した者は17名中4名(23.5%)であった.以上より,本研究における介入プログラムは6か月間の持続効果を認めないことが明らかになった.介入プログラムの継続または内容の変更が必要である可能性が示された.
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日本エイズ学会誌
巻: 26 ページ: 14-21
Japan Journal of Nursing Science
巻: 20 ページ: e12535
10.1111/jjns.12535