研究課題/領域番号 |
20K19150
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研究機関 | 松本大学 |
研究代表者 |
熊谷 麻紀 松本大学, 人間健康学部, 助手 (00757552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 労働者 / 余暇 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
令和2年度は3年度以降に実施する調査のため、労働者の仕事以外の過ごし方に関する文献レビューや調査尺度の検討、現場で産業保健に従事する専門職者から、COVID-19流行下における労働者を取り巻く労働状況等について、情報収集を行った。 文献レビューでは、仕事不安が強い労働者は、仕事外の時間に仕事に関する反芻や思い出す傾向が高いとされ、仕事外では、仕事との心理的な距離を図ることが有効とされていた。また、仕事日の前日の過ごし方として、能動的な余暇活動をしている労働者ほど、職務遂行能力の向上が期待できると共に、ワーク・エンゲージメントも上昇する傾向にあるということが確認された。 労働現場における情報収集では、緊急事態宣言下や感染症対策を講じる上で、リモートワークが活用され、移動時間の短縮化、ドア・ツー・ドアでの利便性は高い一方で、職種によってはリモートワークでは担えない業務内容もあることから、COVID-19流行以前の働き方との差異による仕事の負担感や、自宅等のパーソナルスペースでの業務は、仕事との一定の距離を図りにくく、ストレスを感じやすいという点があった。リモートワークに加え、休日における外出の自粛等から、身体活動量の低下を自覚している労働者もおり、体重増加を心配する意見等が聞かれた。 このように、現状のCOVID-19流行下における労働者の仕事以外の過ごし方について、仕事との棲み分け自体が難しい状況である可能性をふまえ、身体活動や余暇活動を積極的に取り入れる取組みについて調査する等、尺度の指標について、より細分化した調査の必要性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は主として、文献レビューや尺度指標の検討を実施してきた。COVID-19流行の影響により、研究協力機関との調整、調査の実施時期の延期などから、当初の計画よりやや遅れが生じている。ただし、本年度の実施計画に組み入れていた尺度指標のためのレビュー結果から、指標原案の作成、プレテストに向けて、引き続き調査協力機関等、外部機関との調整を講じながら、研究を遂行する。 今後、COVID-19の動向やその影響によっては、調査内容の変更なども想定しておく必要がある。そのため、新たに研究協力の候補先を検討するなど、対象選定を慎重に進めると共に、専門家への相談・意見聴取、オンライン調査実施の検討等をふまえながら、適宜社会情勢に応じた対応を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
現状であるCOVID-19の流行下における労働者の仕事以外の過ごし方について、仕事との時間の棲み分け自体が難しい状況である可能性がみられた。 そのため、身体活動や余暇活動を積極的に取り入れられる取組みについて調査するなど、尺度の指標についてより細分化した調査を検討する必要性がある。よって、産業保健分野等の研究者の意見を聴取しながら、尺度原案を作成し、予備調査を実施する。尺度の信頼性・妥当性の検討、必要であれば改変等の調整を行い、本調査を実施する。実施した調査結果の成果をまとめ、国内外での関連学会での発表を目指す。 また、尺度指標の評価から、休息をうまく図ることができていないとされる対象者特性を捉えると共に、基本属性や他の健康関連データ等との関連性についての検討をふまえ、労働者の休息を促すための方策を導く。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査を延期したこと、研究発表における学術集会がオンライン開催となったこと、研究協力機関先とのオンラインによる打ち合わせ等の状況から、旅費の支出の必要がなくなったため。 次年度使用計画として、オンライン調査のための作成費やその実施に関する諸経費、研究成果の発表に伴う参加費や旅費などに使用する予定である。
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