吃音者42名に対して,流暢性スキルの習得を目的とした治療を実施した後の発話を治療前と比較して、発話に生じた音響学的変化を検討した。 3回の治療実施後および,治療終了時には吃頻度の平均が有意に低下し、治療効果が確認された。また,治療後には調音速度が低下した。しかし,調音速度と吃頻度は相関せず,治療前の調音速度に関わらず,個人内で調音速度を低下させることが肝要であると言えた。 治療前の吃音者はポーズ数が多く短く途切れ途切れの発話であった。しかし,治療後には1フレーズで発話できる長さが延長し,文間ポーズ平均持続時間が有意に延長したことから,発声運動に対するコントロール力が向上したと考えられた。
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