高齢者の運動能力に対する支援策は,主に対象者の個人的属性に基づき選択されてきた.一方,高齢者の健康には,個人的属性という内的要因のみでなく,近隣環境などの外的要因も影響する.よって,運動能力に対する支援策に関しても,近隣環境を含む包括的な評価結果に基づきプログラムが選択されるべきである.本研究課題では,近隣における運動施設(物的環境)と,犯罪に対する安全性(社会環境)の両者が運動能力(特に移動能力)と横断的・縦断的に関係することを明らかにした.これによって,運動能力低下者(またはリスク者)を層別化し,かつ移動能力支援のためのプログラム選択を行う際の有益な資料を提供できたものと考える.
|