研究課題/領域番号 |
20K19416
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研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
横井 香代子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (70733856)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 日常生活活動 |
研究実績の概要 |
本研究は,パーキンソン病(Parkinson’s Disease,以下PD)を有する患者の運動障害,認知機能障害,脳萎縮の程度,ドパミン神経の変性・脱落の程度といった多角的な視点から,①ADL障害に関与する機能障害を特定し,カットオフ値を算出すること,②客観性を持ったADL予後予測方法の確立をすることを目的に実施している.令和3年度の研究計画は,得られたデータを解析し,目的①の「ADL障害に関与する機能障害を特定し,カットオフ値を算出する」について,論文にまとめることであった. 令和3年度は,令和2年度に引き続き,仙台市にある研究協力病院の協力を得てデータを取得し,研究目的①を達成するために解析を行った.209名のPD患者を対象に,運動機能障害の指標であるHoehn-Yahr stageとADL障害の関連を調べた.その結果,PD患者は運動機能低下が軽度である時から,ADL項目のうち入浴動作と階段昇降に支障をきたすことを明らかにした.一方,食事動作と更衣動作は,運動機能低下が重度であっても比較的保たれていた.またHoehn-Yahr stage II-IIIの151名を対象に,認知機能の指標であるMini Mental State ExaminationとADL障害の関連を調べたところ,認知機能障害が関連しているADL項目はトイレ動作,更衣動作,移乗動作であることを明らかにした.以上の結果をまとめ,令和4年度の10月に開催される国際学会に演題の登録を行い,採択されている.また研究結果をもとに,論文の執筆も行った.論文は令和4年度中に,国際誌に投稿する予定である. 一方,研究目的①の「カットオフ値の算出」に関しても解析を行ったが,カットオフ値となる指標を明らかにすることはできなかった.今後,カットオフ値の算出に適切な指標が存在するかについて,再検討する必要があると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,令和2年度に引き続き令和3年度も,被験者のリクルート,検査・測定,脳画像データの取得を行った.一般情報,ADL評価,運動症状評価,認知機能評価は,研究協力病院からの協力を得て,診療録より収集した.加えて,脳画像データは診断目的で撮像されたものを得た.令和3年度末までに200名以上のデータ取得し,それらのデータを解析することができた.また結果をまとめ,令和4年度の10月に開催される国際学会にポスター発表として演題登録を行い,採択されている.論文についても執筆が終わり,あとは投稿するのみとなっている.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は令和2年度および3年度に実施した研究をまとめた論文の投稿を行い,論文の受理を目指す.また令和2年度に協力を得た患者のFollow up を行い,2年後のデータ(一般情報,ADL評価,運動症状評価,認知機能評価)を取得する.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大の影響により,本研究代表者の県外移動,研究協力病院への立ち入りが困難となり,データ取得や研究打ち合わせについては予定を変更せざるを得なかった.そのため,交通費や謝金の未使用金額が生じている.一方で,解析等は順調に行えており,良好な結果も得られているため,繰越金は今後,学会発表や論文投稿に関連する経費として使用したい.
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