本研究は、COPD患者を対象に狭小スペース下で実施可能な運動負荷試験として移動を伴わないstep test を実施し運動耐容能評価としての可能性を検討することとして助成を受けた。 本研究の基礎研究として、健常者を対象としてすでに先行研究のあった6分間ステップテスト(6MWT)と2分間ステップテスト(2-minute step test;2MST)の比較を最大速度と至適速度にて行った。 結果、6MSTでは最大速度と至適速度でともに最高酸素摂取量と相関がみられた。一方で、平均で約85%最高酸素摂取量に達していたことからも被験者の身体的負荷が大きく、かつ検者も測定の負担が大きかった。一方で、2MSTでは最大速度では最高酸素摂取量と有意な相関が認められたものの、至適速度では有意な相関が認められなかった。しかし、2MSTの至適速度の自覚的運動強度の程度が低負荷に感じながら実施した群と高負荷に感じながら実施した群の2極化となっており、高強度に感じながら実施した群では最高酸素摂取量と有意な相関がみられた。また、6WSTと2WSTともに1回目と2回目の間に有意な差は認められなかった。 よって、6WSTと2WSTは歩行というリスクのある形態をとらなくても運動耐容能を評価できる可能性が示唆された。特に、至適速度で実施する場合には「最も快適」という曖昧な表現を避けて、Borg Scaleなどを参考に具体的目標を指示することが必要ではないかと考えられた。 上記の基礎研究後に病院での本研究に臨む予定であったが、2020年度からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いCOPD患者に対する運動負荷試験の実施が困難となったため、COPD患者でのデータ取得には至らなかった。
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