研究成果の概要 |
本研究ではタンパク質分解機構であるユビキチンプロテアソーム系によるタンパク質分解産物であるアミノ酸が筋細胞内においてどのように再利用されるのかを明らかにすることを目的とし, 標識アミノ酸を用いた検証に取り組んだ. その結果, 仮説とは異なり分解由来アミノ酸は新規タンパク質合成の材料として再利用されておらず, エネルギー源として利用される可能性が明らかとなった. このことからタンパク質分解産物の使い分けの可能性や, ペプチド分解酵素による分子制御機構の可能性といった新しい生理現象を発見することができた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
超高齢社会を迎えている日本において加齢に伴う筋萎縮サルコペニア患者の増加が大きな健康課題となっている. 筋萎縮・筋量低下は日常の運動量の低下をもたらし, さらにはQOLやADLの低下を加速させていくことから解決すべき喫緊の健康課題であると考えられる. 本研究の筋細胞における新たなタンパク質代謝機構の解明という成果は, サルコペニア予防に向けた栄養学指導や運動指導法に対して新たなエビデンスを提供するとともに, タンパク質分解の制御分子を標的とした新しい筋萎縮治療法の確立に向けて貢献できると考えている.
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