研究課題/領域番号 |
20K19591
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
小倉 晃布 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (10780588)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動感(キネステーゼ) / 能動的キネステーゼ / 受動的キネステーゼ / 焦点化質問シート / 発生運動学 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、本研究の課題である「学習者の受動的キネステーゼを顕現化させるための学習ツール」として「焦点化質問シート」を開発し、この「焦点化質問シート」を用いた学習実験(指導実践)を、指導者志望学生を対象に実施することを通して、この学習ツールの実践的意義を明らかにすることを中心に行った。 具体的には、マット運動の側方倒立回転を題材として取り上げ、側方倒立回転を“できる”学生が、自身の動感(キネステーゼ)、とりわけ初心者指導に重要な側方倒立回転の“コツ”を能動的に把握しているかどうかを学習実験(指導実践)により調査した。 学習実験(指導実践)は、2021年8月に北海道教育大学岩見沢校で実施し、4名の指導者志望学生を対象とした。 結果的に、側方倒立回転が“できる”学生であっても、自身の動感(キネステーゼ)を能動的に把握しているとは限らないことが明らかにされ、なおかつ、本研究で開発した「焦点化質問シート」を用いた指導実践が、学生自身が能動的に把握できていない動感(受動的キネステーゼ)を能動的意識に浮かび上がらせ、自身の動感(キネステーゼ)を言語化する活動を通して、意識的に把握することに寄与した可能性が示された。また、それに伴い、指導実践を展開する指導者(研究者)の能力性を明らかにする必要性も示された。 この指導実践の成果は、本研究で開発した「焦点化質問シート」の実践的意義を裏付ける人間科学的根拠となることが考えられ、体育教員やスポーツ指導者など運動指導の現場に立つ者にとって不可欠な専門的能力を養成するための方法論を考える上で、重要な根拠となることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、研究初年度である令和2年度に新型コロナウィルスの影響で実施できなかった学習実験(指導実践)を実施することができた。また、令和2年度に、本研究のキーワードである動感(キネステーゼ)に関して研究代表者の過去の指導事例に基づく研究成果が出たことにより、本研究課題を進めるための理論的基礎が確認されたことが、令和3年度の学習実験(指導実践)を効果的に展開するための知見となった。そのため、当初からの予定であった「学習ツールの開発」「学習ツールを用いた指導実践」という令和2年度、3年度の研究内容を達成できていることが「おおむね順調に進展している」ことの理由である。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、令和3年度に実施した学習実験(指導実践)の研究成果を論文としてまとめ、研究専門誌に投稿するとともに、国内学会にて研究発表を中心に行う。また、本研究で開発した学習ツール「焦点化質問シート」を用いた指導実践を、対象種目、対象フィールドを拡大して実施し、「焦点化質問シート」の実践的意義ならびに有効性を検証する作業を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、購入予定であった物品ならびに図書の市場価格の微差などによる。次年度は、微差を埋めるために研究課題遂行に必要な消耗品の購入などに充てる予定である。
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