研究課題/領域番号 |
20K20124
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
重本 祐樹 福岡女子大学, 国際文理学部, 講師 (60818376)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 感性工学の方法論 / 不便益の視座 / 感性 / 発想法 / KJ法 / デザイン思考 / 人間中心デザイン / 意味のイノベーション |
研究実績の概要 |
新型コロナの流行により研究計画が遅延しているものの、2020年度をかけ、ユーザーの感性ニーズを掴むためのオンラインによる感性工学方法論の開拓と、不便益の理論的発展が進められた。これらの成果を国際会議で発表したり、また2021年度12月には論文の出版が決まっている。また、社会的にもコロナ渦への対応に慣れてきた部分もあり、したがって2021年度からは、社会情勢への注視を予断はできないものの、上記で新規開拓した方法論および万全の対策を行った上でデータ収集を開始、初期のデザイン原理の発展を行なっている。
また、感性工学と不便益の理論的発展を進めている中で、感性工学を扱うためには、”感性”そのものへの探究の必要性が明確になり、これが世界的な視座におけるデザイン思考の直観的思考に当たる、もしくはその上位互換となりうる可能性を見出した。また、感性を用いたユーザーニーズの把握方法として、感性工学およびデザイン思考の初期段階では、川喜田二郎氏によるKJ法の有効性を再発見した。KJ法は広く流布している発想法のため、目新しく聞こえないかもしれない。しかし、問題は現在において川喜田氏が確立した”正則的なKJ法”がひどく婉曲した形で日本を始めとする世界中に広まっており、川喜田氏がKJ法として意図した正則的な方法は、一般的にはほとんど姿を残していないことが分かった。
川喜田氏の社会と人間に対する視座、それに支えられているKJ法は、不便益を強制的に発露させ、人間力を生かした意味を希求する創造的デザインをよりよくマネジメントするための可能性を示した。この点において、感性工学、デザイン思考、不便益、KJ法、そして意味のイノベーションと人間中心デザインが理論的に統合される余地が見え、今年度は更なるデータ集中と実証研究を行なっていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究費用は、2020年度4月より受給している。同時期より、世界的に新型コロナウィルスが流行し、予定していた対面でのインタビュー・グループインタビューやフィールドワークが困難となった。
ただし、2020年度をかけて、感性工学と不便益の理論的発展が進み、これらを国際会議で発表したり、また2021年度12月には論文の出版が決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記にある通り、新型コロナの流行により研究計画が遅延しているものの、2020年度をかけ、ユーザーの感性ニーズを掴むためのオンラインによる感性工学方法論も開拓できた。また、社会的にもコロナ渦への対応に慣れてきた部分もあり、したがって2021年度からは、社会情勢への注視を予断はできないものの、上記で新規開拓した方法論および万全の対策を行った上でデータ収集を開始、初期のデザイン原理の発展を行なっている。
また、感性工学と不便益の理論的発展を進めている中で、感性工学を扱うためには、”感性”そのものへの探究の必要性が明確になり、これが世界的な視座におけるデザイン思考の直観的思考に当たる、もしくはその上位互換となりうる可能性を見出した。また、感性を用いたユーザーニーズの把握方法として、感性工学およびデザイン思考の初期段階では、川喜田二郎氏によるKJ法の有効性を再発見した。KJ法は広く流布している発想法のため、目新しく聞こえないかもしれない。しかし、問題は現在において川喜田氏が確立した”正則的なKJ法”がひどく婉曲した形で日本を始めとする世界中に広まっており、川喜田氏がKJ法として意図した正則的な方法は、一般的にはほとんど姿を残していないことが分かった。川喜田氏の社会と人間に対する視座、それに支えられているKJ法は、不便益を強制的に発露させ、人間力を生かした意味を希求する創造的デザインをよりよくマネジメントするための可能性を示した。この点において、感性工学、デザイン思考、不便益、KJ法、そして意味のイノベーションと人間中心デザインが理論的に統合される余地が見え、今年度は更なるデータ集中と実証研究を行なっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
冒頭にあるように、2020年度は新型コロナウィルスの流行によりデータ収集および研究打ち合わせのための国内外の移動が困難となった。そのため、予算を使用しなかった。2021年度からは、データ収集やデザイン原理開発を再開するため、2020年度に予定していた計画を1年繰り越しの形で実施する。
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