2023年度は、これまでの研究成果のアウトプットが出始めた。昨年までの報告で、霊性(スピリチュアル)と科学(量子力学)との接合点が見え始め、参与観察によって具体的な仮説もいくつか思い至ったが、そうした内容、および過年度の実践の研鑽によって私自身が発見した内容などの発表の機会が得られた。具体的には、マクロビオティックのジャーナルや研究会に寄稿依頼・発表依頼をいただいたり、日本の食養術や肚文化(武術、芸術などを含む)、スピリチュアルと科学性をテーマとした講演依頼をいただくようになった。 感性工学と不便益をテーマにスタートした本研究であるが、感性そのもの、ひいては人間存在への探究が必要であると分かり、進めてきた。そうした中で、2022年に拙稿で提示したデザイン思考の新たなモデルに対し、KJ法の核である「己を虚しくして、データをして語らしめる」実践であるが、世界的な神秘家であり瞑想・哲学・スピリチュアルの権威であるOSHOも『Creativity』という著書の中で同じこと述べている。つまり、KJ法が志向する創造性、および川喜田教授が全人格教育の重要性を説く中で目指していたヒトの創造力というのは、古今東西の宗教的な実践と教義に見られる本質に迫るものであり、人間の無意識領域の活用であることが分かった。これは実体験によるものなので、実証科学的な証明の方法(とその必要性)は現在検討中であるが、近年伸びてきているdescriptiveなケースの記述テーマとしては、これまで類似の研究に出会ったことはなく、既存の学術に対して分野を横断して示唆をもたらすものと期待する。
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