研究課題
若手研究
本研究では、天然アミノ酸を原料とすることで生分解性・生体適合性が高く、温度依存的可逆自己集合(コアセルベーション)特性を示すエラスチン由来の合成ペプチド・ELP (Elastin like peptide)を母体として、がん医療、特に、光線力学的療法に適用可能なペプチド性医療材料を開発することを目的とした。我々が以前報告した低分子で温度応答性を示すELPと、光に応答して構造変化を示す分子を組み合わせ、がん細胞への薬物送達能力と、光によるがん細胞傷害活性を合わせ持つELP誘導体の開発を行った。
生物化学
光線力学療法は、侵襲性が非常に低い、腫瘍周辺の臓器機能の温存を可能とする先端治療法であり、麻酔を安全に施すことができない等の手術が困難な場合や、臓器温存が必要な場合に必要となる。一方で、ELPは生体や環境にやさしい生体分子素材であり、その温度依存的な自己集合特性を利用し、薬物輸送担体としての応用が期待されている。本研究では、温度と光で自己集合を制御可能な新しい薬物輸送担体を開発し、光線力学療法に適用可能な新しい生体分子素材の開発を目標として行った。