研究課題
我々が考案した、脊椎とインプラントの相対的な位置関係を定量化できる革新的弛み評価法(トモシンセシス画像を用いてスクリューと椎体後壁のなす角度を高精度で計測する手法)を用いて、脊椎固定手術後のインプラント弛みのパターンを詳細に解析する。新たな弛み分類を提案、臨床所見と相関する所見を見出すことが本研究の目標である。今年度は、研究グループの計画に合わせて、頚椎レベルでのインプラント弛みの検証を優先し、以下の検証をおこなった。1. 頚椎模擬骨を用いた基礎的検証(弛みの計測手法の構築・検証)頚椎ではスクリューの刺入方法が多様で腰椎と同一手法で計測困難なため、前段階として、挿入椎体に対するscrewの角度変位を計測するための基準点を検討すること目的に実施した。標準手技で骨孔を作成したゆるみなしmodelと、オーバーサイズで骨孔を作成したゆるみありmodelを作成し、トモシンセシス画像を撮影して臥位と立位の2条件で再構成し、①椎体後壁、②椎体尾側終板、③上関節突起前縁を基準点として、椎体に対するscrew中心線の角度変位を計測できるか検討した。結果、両側で描出良好なのは③のみであり、臥位と立位でのscrew角度変位に有意差はなく、ゆるみあり群でscrew角度変位が大きい傾向にあった。(p=0.119)。②頚椎椎弓根スクリューを用いた頚椎手術臨床症例による本解析手法の検証CT上ゆるみのない頚椎後方固定術直後患者のTomosynthesis画像(同一日時に撮像した臥位と立位の21組)を用いて、模擬骨と同様の手法で①椎体後壁、②椎体尾側終板、③上関節突起前縁を基準点とした際に計測可能か検証した。結果、①11組、②3組、③16組で計測可能であり、全ての患者で計測可能な基準点はなかった。最も汎用性が高い③では、臥位と立位でのscrew角度変位に有意差はなかった。
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BMC Musculoskelet Disord
巻: 23 ページ: 358
10.1186/s12891-022-05316-7