研究課題/領域番号 |
20K20258
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研究機関 | 公立諏訪東京理科大学 |
研究代表者 |
橋本 幸二郎 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 講師 (00756588)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知場面検出手法の提案 / 運転場面マイニング手法の提案 |
研究実績の概要 |
本研究は、実運転行動データからドライバの認知機能を評価するシステムの開発を目的としている。一連の運転行動データの中には様々な運転場面が発生するが、ドライバの認知機能が評価できるのはその中でも特定の場面である。そのため、一連の運転行動データの中から認知機能を評価可能な場面(認知場面)の検出アルゴリズムが必要となる。 2021年度の成果は2点ある。一つは認知場面の検出手法を提案したことである。この手法は予め認知場面のデータが収集できることを前提とした手法であり、マルチモーダル学習可能な時系列深層学習モデル構造を提案し、その有効性を示した。しかし、運転中に発生する運転場面は複雑かつ種類が多く、One-class分類モデルにおいて正しく識別境界を学習させることができない問題が生じた。 そこで二つ目として、運転行動データのクラスタリング手法を提案した。運転行動データはデータ量が膨大であり、手動で場面のグループ化を行うことは困難である。そこで、Gaussian Process-Hidden Semi Markov Models(GP-HSMM)を応用し、運転場面と考えられる部分時系列データの自動分節化かつクラスタリング手法を提案した。これにより前者の手法を多クラス分類モデルとして扱うことができる。 提案手法の適用には、認知場面データの事前収集が要求される。しかし、運転中に意図する場面が都合よく発生することはない。また発生件数の少ない場面はクラスタリング手法で抽出することも難しい。そこで2022年度ではドライビングシミュレータ(DS)を活用する。すなわち、深層学習技術であるSimulated to Realityを適用することで、DSで得られる運転行動データを現実の世界に適用できるようにする。2021年度では、本学所在地である長野県茅野市の3D都市モデルを活用したDSを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度において、コロナ事情に伴う学内対応にエフォートが割かれたこと、実験機の納品遅れが影響し、今年度も成果捻出に遅れが生じている。本来であれば2021年度にドライビングシミュレータによる運転行動データを現実の世界に転移させるSimulated to Reality技術の提案と検証を行う予定であった。しかし、2021年度はシミュレーション空間の構築と、現実の世界で有効であった手法を適用し、検証を行ったに留まっており、Simulated to Reality技術の提案と検証までは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度では、ドライビングシミュレータによる運転行動データを現実の世界に転移させるSimulated to Reality技術の提案と検証を行う。研究計画では認知機能の評価指標は既存の指標を使うこととしているため、この技術の確立は、実運転行動データに対する認知場面の検出を可能とし、かつ検出場面に対して既存指標に基づく認知機能評価が可能となる。この点の検証を行うことで研究の目的が達成できると考える。ただし、2022年度の成果を国外や論文等で公開することは時間的に厳しい。そのため、必要に応じて研究期間の延長を申請する。
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